そして,今もビートたけしの逆説が分からない若者の多さには呆れている。
それはサブカルチャー論にも共通する。
いつの間にか,サブがメインになり,本来カウンターで発言すべきサブカルチャーが正論の如く流通している。
昨今の太田光が,番組の中で総理を自称し,実にお笑いにあるまじき,まともな正論をぶつ論客となっているのも,本来のメインカルチャーの方が脆弱すぎて立ち位置としては,正論をぶつ方が,むしろ異端でありカウンターであるからだろう。
太田光は年齢を重ねると共に,正論の方が少数派であることを意識し,空気を読めていない正論バカをお笑いの役柄の一つとして演じている。
そのポジション取りを汲むこともなく「太田光は文化人気取りだけど,本気で政治家になりたいんじゃない?」としたり顔で言う,芸人の真意が読めない人々がいるが,「政治家よりお笑いのほうが圧倒的に影響力のある存在」であるのに気が付かないのだろうか。
水道橋博士 (2012). 藝人春秋 文藝春秋 pp.267
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