大学のキャリアセンターに呼ばれて行くと,そこでは「白い靴下は面接ではNGですか」「自分のことを語るとき,『私』と『自分』とどちらを使うべきですか」,こんな話ばかりを聞かれる。
そんなことよりも,企業が望むのは,的確に相手の質問意図をとらえ,それに対して,説得力の高い応答を,素早く,しかも簡潔に行えることである。そういう力は,「面接対策」ではなく,学問・学究活動をしながら十分磨ける。この部分は,大学教育と融合が可能なはずだ。こうした,本質的な考える力の養成ならば,スキル教育を重視する専門学校とも一線を画すことができるだろう。
つまり,考える力を鍛えるよなシラバスを作り,そのシラバスの題材として,経済や法律や文学などを利用すれば,大学教育と社会人力養成は相反さない。そうすれば,学生も学業に力を入れる。
逆に,現状のような「就職活動を後ろ倒しにする」などという本質的ではない対症療法を繰り返していても,決して学生は学業に力を注ぎはしないだろう。
海老原嗣生 (2012). 偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 朝日新聞出版 pp.169-170
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