桑田の妻,真紀さんが,こんな話をしていたことがある。
「若い時に言っていることと,今,言っていることは同じなのに,みんなは変わったと言うんですよ。確かにある程度は丸くなったとは思いますけど,本当は何も変わっていないんです。野球に対してもその都度,真剣なところは何も変わってないし,何かを言うとナマイキだって言われちゃうところも変わってない(笑)。でも歳を重ねていくと,同じ言葉でも生意気だって言われたことが立派だって言われたりするんですよね。20年たつと,同じ人がこれだけ違って受け取られるんですから,不思議ですよね(苦笑)」
飲みに行こうと誘われて,「練習があるから」と断る20歳は生意気だと叩かれ,「練習があるから」と断る40歳は自分を律していると尊敬される。自分を貫くために発していた言葉が,周りよりも若いときには生意気だといわれ,周りよりも歳を重ねると勇気だの男気だのと言われて賞賛される。
石田雄太 (2007). 桑田真澄:ピッチャーズ・バイブル 集英社 pp.282
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