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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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脳が出す指令

 人間の脳は,身体を原子レベルから再構成するようなプログラムを実行しているのではないし,筋肉の繊維一本一本の構成を分子レベルから組立てるような指令はしていない。骨格をどのように構成するか,筋肉をどの方向に収縮し弛緩するかについてさえ指令していない。身体の特性とその振る舞いの効果については,脳は何の制御も行うことはできない。それらはすべて身体の中に書き込まれている。むしろ,脳が行う制御は,身体の特性や振る舞いが環境に対して一定の効果をもちうることを最初からの前提としている。
 したがって,脳が出す指令があるとすれば,そのヴォキャブラリーも文法も,身体という言語で書かれているはずである。単純に言えば,脳の方が,身体の能力,身体がもつ外界への効力に完全に依存しているのである。

河野哲也 (2008). 暴走する脳科学 哲学・倫理学からの批判的検討 光文社 p.73-74.
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