他のいくつかの国でも,SSRIの登場以後,うつ病により生活機能が低下した国民の数が大幅に増加していることが確認された。イギリスでは,うつ病や神経障害による「就労不能日数」が1984年の3800万日から,1999年には1億1700万日へと,3倍に増加した。アイスランドでは,うつ病により機能が低下した人の割合が,1976年から2000年の間にほぼ倍増したことが,報告された。アイスランドの研究者らは,もし抗うつ薬が本当に効果的なら,薬の使用を通じて「うつ病障害による障害者の率,罹患率,死亡率の減少による公衆衛生への好影響が想定されるのではないか」と推論した。アメリカでは,うつ病のため生活機能の低下に陥っていると回答した労働年齢人口の割合が,1990年代に3倍に増えた。
ロバート・ウィタカー 小野善郎(監訳) (2012). 心の病の「流行」と精神科治療薬の真実 福村出版 pp.244-245
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