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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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身体と言葉

赤ちゃんが言葉を覚えていくとき,どうやって覚えていくでしょうか?
 「まま」とか「まんま」といったお母さんやごはんをあらわすコトバを最初に覚えるお子さんが多いですよね。一番ほしいもの,その欲求を満たしてくれる「もの」と「ものの名前」が一致することで,言葉を覚えていきます。いちご,バナナ,テレビ,お花,いす,テーブル,など「ものの名前」の獲得によって言葉を増やしていきます。
 しかし,「うれしい」「悲しい」「さみしい」など感情をあらわす言葉は,「もの」がありません。では,「もの」がないのに,どうやって覚えるのでしょうか?
 あゆみちゃんを,ブランコに乗せて後ろから押してあげると,きゃっきゃっと大喜びしますよね。風が気持ちよくて,お空がゆれて,ふわふわした気分で大喜びです。ママもパパも自然に「うれしいねぇ」「楽しいねぇ」と声をかけますね。
 そのとき,あゆみちゃんの身体の中を流れている喜びのエネルギーを,ママとパパが自然に感じ取って,それを言葉にして返すという相互作用が自然に起こっています。子どもにとっては,自分の身体の中を流れているエネルギーの感じ,身体感覚と「うれしい」という言葉が結びつくという学習をしていることになります。
 つまり,身体感覚が「もの」にあたり,「うれしい」が「ものの名前」にあたるのです。だから,感情をあらわす言葉を獲得するためには,大人との相互作用がいつも必要なのです。感情は,身体の中を流れる混沌としたエネルギーにすぎませんが,言葉を結びつくことによって,他者にそれを伝えることができるものになります。このプロセスを環状の社会化と言います。「うれしい」という感情が社会化されている人たちの間では,「うれしい」という言葉を使うと,その感情があらわす身体感覚を推測することができます。それによって,共感するということが可能になるわけですよね。

大河原美以 (2006). ちゃんと泣ける子に育てよう:親には子どもの感情を育てる義務がある 河出書房新社 pp.32-33
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