まちがうことを恐れる傾向は,大学生にも見られる深刻な問題だと感じます。優秀な大学生の場合,大学にくるまで「やればできる」という経験のみをしているので,「やってもできない」経験を大学ではじめて経験すると,ショックを受けてしまうということがあります。
幼いころから,「やればできる」と励まされて育って努力してきたわけですから,無理もないかもしれません。社会人として職業専門性を身につけて行くときの学び方は,「まちがうことから学ぶ」という学び方になるわけですが,「予習をしてまちがわないようにする」ことに必死になってきた子どもたちは,社会人になってから,挫折しやすい脆さを抱えてしまっています。
そういう意味では,親ごさんたちも,その不安を抱えたまま親になり,子どもがまちがわないようにコントロールしようとする悪循環になっていると言えるかもしれません。
大河原美以 (2006). ちゃんと泣ける子に育てよう:親には子どもの感情を育てる義務がある 河出書房新社 pp.135-136
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