実際,イギリスの街中を歩くと,チャリティ・ショップの数の多さに驚かされる。ガン,心臓病患者や難病患者への支援,発展途上国への援助など,各分野のチャリティ団体が店を出し,中古衣料や雑貨を販売して,活動費に充てている。チャリティ・ショップは日常風景の一部であり,買い手も,一般の店舗と特に変わらない認識で利用している人が多い。ここで買い物をすることが社会貢献である,という気負いや衒いもまったく見られない。
日本で「チャリティ」というと,困窮している人間に対する「恵み」「施し」というイメージで語られるが,イギリスにおいてはその意味がかなり拡大解釈される。危機に瀕している動物,あるいは機械も救済の対象に成り得る。消滅しかかっている機関車や線路を自らの財布と労働力で救うという行為は,イギリス伝統のフィランソロピーやチャリティの延長線上にある。
秋山岳志 (2010). 機関車トーマスと世界鉄道遺産 集英社 pp.40
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