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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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歴史を知れば

 ウィルバートの第12作目『8だいの機関車』所収の「ゆうめいになったゴードン」は,ゴードンが急遽ロンドンに行くことになったお話である。ロンドン行きに先立ちゴードンは,自分が昔ロンドンのキングス・クロス駅で活躍していたと自慢する。ところが,ほかの機関車がゴードンにこう反論するのである。

 「ロンドンの駅は,ユーストンだよ。そんなこと,だれだって,しってるよ」

 これを訊いたダックは黙っていない。

 「そんな ばかな! ロンドンの駅は,パディントンだよ」

(『8だいの機関車』)

 これは,ゴードンはもともとLNERの機関車であり,同社がロンドンでターミナル駅としていたのがキングス・クロス駅,ダックはGWR出身なのでターミナルがパディントン駅であることを知らないと,何を言い争っているのか皆目わからないのではないだろうか。ちなみにユーストン駅は,ジェームスなどが属していたLMSの発着駅。各自が自分の駅,すなわち自分の鉄道会社が一番だと譲らない当時の状況を揶揄しているのである。
 四大鉄道時代以前,鉄道会社は各自バラバラに首都ロンドンに乗り入れ,専用のターミナル駅を作っていった。その結果,膨大な数の駅が狭いロンドンに出現する。4つの会社に統合された後も,合併前の会社の駅をそのまま受け継いだため,やはり各社別々の駅を利用していた。フランスなどヨーロッパ大陸の国でも複数の駅がある都市は珍しくないが,ロンドンが群を抜いて多いのは,そのためだ。

秋山岳志 (2010). 機関車トーマスと世界鉄道遺産 集英社 pp.105-107

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