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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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笑いモノこそ

 「左様。物が生き物になった時から居る——あれが所謂,霊(モノ)だ。恐ろしいモノだ。恐怖そのものだ。人間は——いや,動物は,あれから逃れるために様々な発達を遂げ,知識を蓄えて来たのだ。その成果のひとつが,我ら妖怪だ」
 「そうなんですか?」
 「そうだ。ただ怖い,ただ恐ろしい,おっかない——これはな,獣でも思うことだ。その,何だか解らないモノと戦うことが生き物の歴史なのである。しかし戦うばかりが戦術ではなかろう。封じ込め,祀り上げ,共存するという手もあるわい。訳の解らぬ怖いモノを,畏怖心,嫌悪感,不快感と細分化し,更に様々な解釈を加え,それぞれに規定して,爪を抜き牙を抜いて飼い馴らし,最後には笑い物にしてしまう——その笑いモノこそが我ら妖怪なのだ」

京極夏彦 (2010). 文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし 角川書店 pp.687
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