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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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安上がりに頼った

 1960年代後半から高校進学率が急上昇し,それにつれて大学進学率も上昇した。そこで大学の新設が急務になった。しかし,日本では,大学生の急激な拡大の受け入れはほとんどが私大で引き受けることになった。どこの国と比較しても,大学生の中で私大生の比率が最も高くなったのは日本で,80%に達していた。私大の中に放漫経営を行う大学が増え,500人,1000人のマンモス教室,非常勤講師の増大,水増し入学などが当たり前になっていた。水増しが定員の20倍を肥えるところもあった。
 本来の大学の大衆化とは,「誰でも望む者は,その能力に見合うような大学教育を受けられる」ようにすることだろう。したがって,国公立大を増加させるべきだったのだが,そうしなかった。同規模の大学を作るのに,私立ならば国立大の3分の1の支出で済むのだ。
 小泉前首相以来,「民営化」「民間活力」が錦の御旗になっているが,大学政策におけるそれは,教育に金をかけないという選択の結果だったのだ。そのことを,よく考えるべきであろう。
 この60年代,世界的な高度経済成長の時代に,先進国の中で高等教育のための公財政支出の比率が最も低かったのが日本だ。日本ほど教育をバカにし,私学にそのつけをまわし,その結果,教育全体の状況を悪化させた国はない。

中井浩一 (2007). 大学入試の戦後史:受験地獄から全入時代へ 中央公論新社 pp.228-229
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