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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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競争しないための競争

 私たちの国は,高度成長のために「ムラ社会」としての一体感を守りながら,しかし一方では「自由競争」で「能力主義」的な上下の移動を可能しなければならず,国全体としても効率的で的確なエリート養成,社会的な選抜と人員配置を行わなければならなかった。
 そのため絶対的な切り札が,「自由競争」としての大学受験制度だった。すべての人が参加でき,完全実力主義で競争できる。こうした形での「平等主義」と「能力主義」の両面の保証の上で,「ムラ社会」は運営されてきた。それがなければ,社会は活力を失い,高度成長は難しかっただろう。
 入試においてだけは,絶対的「自由競争」行われたが,それは唯一,大学の入り口だけのことであり,それ以外は移動のない「ムラ社会」だ。それによって「ムラ社会」内部の一体感を守ったのだ。これが「競争しないための競争」の実体であり,日本の大学入試の核心部分だ。

中井浩一 (2007). 大学入試の戦後史:受験地獄から全入時代へ 中央公論新社 pp.252-253
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