すでに述べたように,ベテルギウスは爆発後,3時間後にはマイナス10等星になり,満月の100倍の輝度で輝きます。これが3〜4か月ほど続きます。一般に遠くの銀河内で超新星が爆発すると,もっとも明るいときは,その銀河全体の明るさにほぼ匹敵する明るさで観測されます。このように超新星爆発は,宇宙の現象の中でもっとも劇的なものなのです。
その後はオレンジ色に変わり,さらにもとの赤色に変わっていきます。400日後にはマイナス4等星になり,このころになると昼間には見えなくなります。2年後には2等星となり,現在のベテルギウスより暗くなり,4年後には夜でも肉眼では見えなくなります。望遠鏡で見れば,かに星雲のように残骸がひろがっている様子が見えることでしょう。
冬の大三角もなくなってしまい,小中学生が使う理科の教科書を書き換えなくてはならなくなります。ちょっとさびしい気もしますが,それも自然の摂理と思えば,超新星爆発を肉眼で見ることができることを期待してしまうのは私だけではないでしょう。
懸 秀彦 (2012). オリオン座はすでに消えている? 小学館 No.278-286/1700(Kindle)
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