これまでわかっているだけで,地球では過去5億年の間に5回も生物の大絶滅が起きています。それも50〜90%もの生物が絶滅しているのです。
1度目は,4億4000万年前のオルドビス紀末のこと。サンゴやオウムガイ,三葉虫のような節足動物が栄えていましたが,こうした海洋無脊椎動物の57%が絶滅しました。
2度めは,3億7000万年前のデボン紀末のこと。このころになると海中で魚類が栄えており,陸上に進出する動物も現れてきた時代でしたが,50%もの生物が絶滅しています。
3度目は,2億5000万年前のペルム紀末のこと。海洋中の脊椎動物の半分がぜ爪と。全体でも53%の生物が絶滅しています。
4度目は,2億年前の三畳紀末のころ。このころは爬虫類が栄え,哺乳類も登場していましたが,海綿類やアンモナイトの多くが絶滅しています。
5度目は,6500万年前の白亜紀末のころ。繁栄を極めていた恐竜が全滅しました。この5度目の絶滅の理由は,現在のところ巨大隕石が地球に衝突したという「隕石説」が有力です。隕石の衝突で大津波が発生,粉じんによって日光がさえぎられ寒冷期が到来したとされています。
このうち,4億4000万年前のオルドビス紀末に起こった大絶滅が超新星爆発に関係があるのではないかとされています。このときは,宇宙からの宇宙線,つまりガンマ線によって絶滅したと考えられているのです。
この時代の地層を調べてみると,生物大絶滅が起こったことがわかります。当時もっとも繁栄していたのは,三葉虫でした。多種類の三葉虫を地層年代ごとに調べてみると,あることがわかりました。
アルゼンチンのある渓谷の地層を調べると,4億4400万年より古い地層には,海の浅いところにいる海洋生物と海の深いところにいる海洋生物の両方の化石が見つかるのに,4億4400万年より新しい地層には,海の深いところにいる海洋生物の化石しか見つからなかったのです。つまり,4億4400万年前に海の浅いところにいた海洋生物が絶滅したということです。これは何を意味するのでしょうか?その原因を超新星爆発に見出す研究者もいるのです。
懸 秀彦 (2012). オリオン座はすでに消えている? 小学館 No.286-312/1700(Kindle)
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