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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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超新星

 時計の針を1572年まで進めます。
 冬のある夕暮れのころ,デンマークの貴族で天文学者のティコ・ブラーエが馬車で家に向かっていました。すると,道端で人々が集まって空を見上げていたのです。すぐに馬車を降りたティコは自分の目で,人々が指さす方向を見てみました。
 そこにはこれまで見たこともないほど明るい星が輝いていました。自分の目が信じられなかったティコは,通りすがりの人を捕まえて「お前にもあれが見えるか」と確認したほどでした。
 ティコは他の天文学者と共同で観察をはじめました。観察を続けていくうちに,この「新たな星」は彗星のようなものではなく,観察者の位置が変わってもまったく動かないことを突き止めました。これをティコは「新星」(ノヴァ・ステラ)と呼んだのです。
 しかし,この明るく輝く星こそが超新星爆発によるものでした。このときの星は「ティコの新星」と名付けられました。ティコの新星は超新星爆発を起こすまでは暗くて認識されていない星でした。そこへいきなり明るく輝く星として見えるようになったので,「新しい星」が誕生したと彼らは考えたのです。
 新しい星が生まれるにせよ,古い星が崩壊するにせよ,当時の人にとってそれは受け入れ難いことでした。というのも,当時のヨーロッパを支配していたのはキリスト教の考え方で,宇宙の中心は地球であり,神がつくった宇宙は不動で永遠のものと考えられていたからです。1543年にニコラウス・コペルニクスが地動説を発表して,地球は太陽の周りを回っていることを提唱しましたが,当時はまだ仮説のひとつと見なされているに過ぎませんでした。
 その後,1931年になってスイスの天文学者フリッツ・ツヴィッキーがこのように飛び抜けて明るい星のことを「超新星」(スーパーノヴァ)と呼ぶようになり,現在に至っています。

懸 秀彦 (2012). オリオン座はすでに消えている? 小学館 No.389-407/1700(Kindle)
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