チェックリストは長すぎてはいけない。原則として項目の数は5個から9個にしておくと良い。人間の脳が1度に保持できるのもそれくらいだと言われている。だが,ブアマン氏によれば,これは絶対に守らなければならないわけではないそうだ。
「20秒しかない場合もあれば,数分の猶予がある状況もある。そのチェックリストが使われる状況に合わせて作ればいい」
ただし,1つの一時停止点に60秒から90秒かかってしまうと,チェックリストはかえって邪魔になってしまうことが多いそうだ。また,ずるをしたり,手順を省いたりされやすくなる。だから,ブアマン氏が“キラーアイテム”と呼ぶ,飛ばされがちだが致命的な手順に絞るべきだそうだ。航空業界では,どの手順が重要でそれがどれくらい忘れられるかというデータを重視する。いつもそのデータがあるとは限らないが。
チェックリストの文章はシンプルで明確でなくてはいけない。その業界にいる人ならば誰でも知っている言葉のみを使うべきだ。そしてチェックリストの見た目も実は重要だ。理想的には1ページに収まり,余計な装飾や色使いは避け,大文字と小文字を使い分けて読みやすくしてあるものが良い。さらに,ブアマン氏は「ヘルベチカ」のようなサンセリフ書体を推奨しているそうだ。
アトゥール・ガワンデ 吉田 竜(訳) (2011). アナタはなぜチェックリスト使わないのか?:重大な局面で“正しい決断”をする方法 晋遊舎 pp.142-143
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