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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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慣れの問題

 いま,中堅大学では,就職に強い学生は2つのタイプしかないと言われている。1つは体育会系の学生,もう1つはアルバイトをたくさん経験してきた学生。
 要するに大人(年長者)とのつきあいに慣れている学生ということだ。
 これもまた,「そんなものは企業に都合のいい人材というだけのことではないか」という批判があることは十分に承知している。私もその批判は正しいと思うが,これが就職活動の現実なのだ。
 だとすれば,「そんなものは,慣れてしまえばいいではないか」と私は思う。ここで求められているコミュニケーション能力は,せいぜい「慣れ」のレベルであって,これもまた,人格などの問題ではない。そうであるならば,「就職差別だ」「企業の論理のゴリ押しだ」と騒ぐ前に,慣れてしまえばいいではないか。
 私は,自分のクラスの大学院生たちには,常に次のように言っている。
 「世間で言うコミュニケーション能力の大半は,たかだか慣れのレベルの問題だ。でもね,20歳過ぎたら,慣れも実力のうちなんだよ」

平田オリザ (2012). わかりあえないことから:コミュニケーション能力とは何か 講談社 313-323/2130(Kindle)
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