モチベーションをいっそう高めるうえで有効なのは,「なにを避けたいか」(=回避目標)ではなく,「なにを実現したいか」(=接近目標)という形で長期の目標を決めることだ。さまざざまな研究によると,ポジティブな長期目標を立てている人は,比較的先延ばしをせず,大きな成果を上げるケースが多い。足元が危なっかしい場所に立っている人に「落ちないように気をつけて!」と言ったり,コンサート前の歌手に「歌詞を忘れるなよ!」と念押ししたりすると,避けなくてはならない結果が現実になる可能性をむしろ高めてしまう。
「酷評されるような本を書かない」ことを目標にするより,「高く評価される本を書く」ことを目標にしたほうがいい。「振られたくない」と思うより,「あの娘を振り向かせたい」と思うほうがいい。回避目標はほぼ例外なく,接近目標に言い換えられる。
ピアーズ・スティール 池村千秋(訳) (2012). 人はなぜ先延ばしをしてしまうのか 阪急コミュニケーションズ pp.201
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