ある行動を習慣化するために必要な条件の多くは,新しいキューを取り入れる場合と共通している。重要なのは,予測可能性を高めることだ。習慣化したい行動を儀式化し,なるべく一定の状況でそれをおこなうようにするといい。時間と場所を決めるのは,とくに有効だ。たとえば,いつも決まった時間にエクササイズをおこない,あれこれ考える余地なく機械的に行動するようにする。毎週火曜日の午後5時にバーベルを上げ,毎週木曜日の午前6時にランニングをするという具合に決めておくのだ。先延ばししがちな課題があれば,それをいつ,どこでおこなうかをまず決めよう。そのうえで,「土曜の朝ごはんを食べ終わったら,ガレージの掃除をするぞ」と言葉にして誓う。
あまりに簡単すぎる?しかし,効果はある。心理学者のピーター・ゴルウィッツアーによれば,ほぼどのような行動でも,その行動を取るという意図を言葉にすれば,実際に行動する確率が2倍近くに高まるという。子宮癌検査の受診や睾丸癌の自己検診に始まり,リサイクルや休日返上での報告書執筆にいたるまで,その効果が科学的に実証されている。手軽なうえに効果が大きいという意味で,これほど理想的な方法はないかもしれない。
ピアーズ・スティール 池村千秋(訳) (2012). 人はなぜ先延ばしをしてしまうのか 阪急コミュニケーションズ pp.259-260
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