あらゆる権力の退廃は,思想・信仰の自由を踏みにじるところからはじまる。そして,権力による思想・信仰の自由の圧殺は,必ず革命思想・革命信仰の自由の圧殺からはじまる。それと同様に,あらゆる革命の退廃は,反革命思想・反革命信仰の自由の圧殺からはじまる。
“反革命”のレッテルさえはれば,思想・信仰の自由を奪ってよいという発想は,“非国民”のレッテルさえはれば,思想・信仰の自由を奪ってもよいというファシズムの論理となんら変るところはない。
退廃なしの革命をめざそうと思うなら,反革命にも思想・信仰の自由をみとめるところからはじめねばならない。
むろん,私が語っているのは,思想・信仰の自由に関してであって,テロや暴力の自由に関してではない。権力に革命的暴力の自由を暴力的に拒否する権利があるように,革命には反革命的暴力の自由を暴力的に拒否する権利があるだろう。
立花 隆 (1983). 中核VS革マル(下) 講談社 pp.231-232
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