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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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筆跡診断

 筆跡分析や性格診断は,性格について大胆に断定してしまうと最初のハードルでつまづいてしまう。個人的には,就職活動の際に筆跡診断で不採用にされた人は,不服を申し立ててしかるべきだと思う。占星術に基づいて不採用にされるのと大差ないからだ。筆跡心理学は,その見事なルールや脱構築,もっともらしい表面的な理論のわりには,観光地の遊歩道で手相占いをしている,まともとは思えない老人と同じくらい当てにならない。筆跡鑑定家は,ある種の傾向(正直さや社交性)を筆跡から見抜くことができると主張するが,曖昧な指摘は誰にでも当てはまるように解釈できるし,文字を書いたのが男性か女性かといった,もっとも基本的かつ検証可能な情報は筆跡分析からは得られない。
 性格というものは流動的で,自分と対話をしている人は自分に反応しているのだから,自分の影響を受けている,というこの事実は物理主義であり,ボディ・ランゲージなどのツールを基にした簡単すぎる性格診断は避けるべきだ。単純に,正しくないからである。同様に,相手に対する自分の先入観も捨てる必要がある。この人はわがままで嘘つきな人だと感じたら,それを裏付ける身振りや仕草を探すだろう。言葉を用いない非言語コミュニケーションでの反応を発達させるには,あるレベルの距離感,客観性,厳密性が必要だ。これができなければ誤った結論を導き出し,人間関係を台無しにする結果になりかねない。もちろん,完璧に客観的になることなどほとんど不可能。多少の個人的見解は常に入ってくるが,それでも先入観を取り除く重要性に気づくことがきわめて大切なのである。

ダレン・ブラウン メンタリストDaiGo(訳) (2013). メンタリズムの罠 扶桑社 pp.308-309
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