生徒たちの苦手意識は英語に集中する。アルファベットを書けない生徒がいることは先に挙げた。特に「b」と「d」の区別ができない生徒が多いという。ひらがな同様これらを学ぶ最初の段階で,周囲がほんの少しこの児童・生徒を見て注意し指導していれば防げる躓きだと思うのだが。動詞の過去形などの変化がわからない。be動詞と他の動詞を一緒に使ってしまうというのは当たり前の例となっている。英語教師もなんとか基礎力をつけようと努力しているが,一向に改善される気配がない。従って高校3年生になっても曜日の名前や月の名前を書かせる試験問題が出され続けることになる。
「底辺校」にもALTと呼ばれる外国人語学教師が配属される。彼らの生の声を聞いてみるといい。様々な学校で授業を行う彼らこそ,現在の高校生の学力差を体感していると思う。「底辺校」では彼らは本当に暇そうである。授業が成立しない状況であることも多いので,日本人教師はALTと授業しようとしない。また生徒も英語に苦手意識があり無関心でもあるので,積極的に彼らに接しようとしない。一日中職員室で読書をしているALTもいるのだ。
朝比奈なを (2006). 見捨てられた高校生たち:公立「底辺校」の実態 新風舎 pp.45
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