ペンシルヴァニア大学のポール・ロジンと各種研究機関の協力者による多くの実験で,一般に私たちは,人または物の真髄が「伝染する」ことを嫌うと証明された。これらの実験では,被験者に,アドルフ・ヒトラーのものだったセーターをドライクリーニングと衛生処理を施したら着ることができるか,以前殺人者が所有していた車を運転できるか,または大好物のジュースのなかに死後殺菌処理をしたゴキブリを浸したものを飲めるか,といった質問をした。すべてのケースで,多くの人が「汚染された」対象を嫌がり,そのことを想像しただけで気分が悪くなり虫唾が走った,と証言した。ところが,どこが悪いのか原因を尋ねても,なぜそれほど気分を害したのか正当化しようとしても,つじつまが合わず,多くの人がうまく説明できなかった。
レイチェル・ハーツ 綾部早穂(監修) 安納令奈(訳) (2012). あなたはなぜ「嫌悪感」を抱くのか 原書房 pp.149-150
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