文化が違えば,吐き気を催させるほど最低のシーンが,エロティックなシーンに変わることもある。55億ドル規模といわれる日本のアダルト産業は,排泄物や道ならぬ行為を混然と見せるのを楽しんでいることにかけては,他国の追随を許さない。日本の社会というのは表向きは慎ましやかで秩序があり,礼儀正しく謙虚だが,ひと皮剥くと奔放であられもない性であふれかえっている。タコにクンニリングスされてよがっている裸の女性を描いた官能的芸術から,観た者の多くが吐き気を催して洗面所に駆け込み,また別の者は泣きながら逃げ去ったと伝えられる動画まで——この4分間のビデオについては,あるブログに「ありとあらゆる排泄物に混じりあい,誰かがランチにタコベル(タコス専門店)に行った(後で吐いた)みたいだった」と書かれていた——日本のポルノは,エロ・グロを妄想することにかけては果てしなく自由であるらしい。
レイチェル・ハーツ 綾部早穂(監修) 安納令奈(訳) (2012). あなたはなぜ「嫌悪感」を抱くのか 原書房 pp.226-227
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