ところでSPIのPはPersonality(パーソナリティ)のPである。SPIの性格適性検査では,まさしくこのパーソナリティがテストされる。しかし,そんなことは可能なのか。またなんのために必要なのか。SPIについてのあるネット情報は,適性検査で試される職種と性格の対応関係のわかりやすい例として,事務職と営業職の違いをあげている。それによれば,「事務職では落ち着いてミスなく作業を進められ,なおかつ持続性のある性格の人材」が適しており,「営業職では社交性があり,意欲的な性格の人材」が適しているという。これは説明になっていない。事務職の適性とされている性質は,営業職に就く人が備えていてもなんら差し支えない。口数が少なく,人付き合いが苦手な人が,温厚・誠実な人柄で顧客の信頼を得て,営業で好成績をあげることはありうることである。
盛岡孝二 (2011). 就職とは何か:<まともな働き方>の条件 岩波書店 pp.8-9
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