ゆるやかに結びつくネットワークのなかで構成要素が自律し,独自性を発揮するダイナミクスは,テロ組織その他の非政府戦闘集団の相互の関係において,そして個々の集団の内部においても複製される。こうした小さな組織は,従来型の強力な指揮統制ではなく,臨機応変で,冗長的で,インフォーマルな社会的関係によって結束している。海兵隊よりも寄せ集めのバスケットボール・チームに近い。そのネットワークは内在する小規模集団によって敏捷性を保ち,より大きなネットワークの多対多の結びつきは,仮にメンバーの10パーセント,20パーセントが排除されてもネットワーク全体が機能しつづけることを保証している。「これまでアルカイダのナンバースリーが何度倒されたかわかりません。ネットワークのなかでは,誰もがナンバースリーなのですから」。アクウィラは辛辣な口ぶりで指摘する。
アンドリュー・ゾッリ,アン・マリー・ヒーリー 須川綾子(訳) (2013). レジリエンス 復活力:あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か ダイヤモンド社 pp.85-86
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