パブロフは生命体(organism)でhなく,器官(organ)に注目する心理学者だった。それに,彼は自律神経系ならびに反射実験がうまくいく唯一の腺に取り組んでいた。彼が唾液腺に行き当たったのは驚くべき偶然だった。実験に用いることができる別の腺を見出すのは非常に難しい。たとえば,脚の屈折について筋標本を使おうとがんばっても,パブロフ反射の研究にはならないと思った。今でもそう思わない。涙を使うのは無理だ。胃液の分泌を使うことは可能かもしれない。胃液が出ているかどうかもっと簡単に見ることができればね。尿や汗を使うことができるとは思えない。唾液しかなかったんだ。実のところ,今思いついたんだが,パブロフは条件づけされた唾液分泌の専門科だったんだ。
(by バラス・スキナー)
デイヴィッド・コーエン 子安増生(監訳) 三宅真季子(訳) (2008). 心理学者,心理学を語る 時代を築いた13人の偉才との対話 新曜社 p.354
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