もし,物静かなタイプと声高なタイプがほぼ同数ずつ,それぞれの考えを持っているとすると,雄弁で説得力のある後者がつねに勝利を得ることになるのではないだろうか。となれば,悪い考えが良い考えを押しつぶして勝利するという事態が,しばしば起こりかねないだろう。実際に,集団の力学に関する研究は,それが現実だと示唆している。私たちはしゃべる人のほうが物静かな人よりも頭がいいと認識する——たとえ学校の成績や大学進学適性試験(SAT)や知能指数が,その認識が正しくないことを示していても,面識のない2人を電話でしゃべらせる実験では,よくしゃべる人のほうが知的で外見がすぐれ,感じがいいと判断された。さらに,私たちはよくしゃべる人をリーダーとみなす。会議の場でしゃべればしゃべるほど,その場にいる人々は彼に注意を向け,会議が進むにつれて彼はパワーを増す。早口でしゃべることもそれを助長する。一般に,口ごもりながらしゃべる人よりも,立て板に水のようにしゃべる人のほうが有能であるとみなされる。
スーザン・ケイン 古草秀子(訳) (2013). 内向型人間の時代:社会を変える静かな人の力 講談社 pp.71-72
(Cain, S. (2012). Quiet: The power of introversion in a world that can’t stop talking. Broadway Books: St. Portlamd, OR.)
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