ケーガンらは,生後4ヵ月の赤ん坊に慎重に選んだいくつかの新しい体験をさせた。録音した声を聞かせたり,色鮮やかなモビールを見せたり,先端をアルコールに浸した綿棒を嗅がせたりしたのだ。それらの未知の体験に対して,赤ん坊たちはそれぞれに反応した。全体の約20%は元気よく泣いて,手足をばたつかせた。ケーガンはこのグループを「高反応」と呼んだ。約40%は静かで落ち着いたままで,時々手足を動かすものの,さほど大きな動きではなかった。ケーガンはこのグループを「低反応」と呼んだ。残りの40%は「高反応」と「低反応」の中間だった。ケーガンは物静かな10代に成長するのは「高反応」グループの赤ん坊だと予測した。
その後,赤ん坊たちは2歳,4歳,7歳,11歳の時点でケーガンの研究室に呼ばれて,見知らぬ人やはじめて体験する事柄に対する反応をテストされた。2歳のときには,ガスマスクをかぶって白衣を着た女性や,ピエロの格好をした男性や,無線で動くロボットに引き合わされた。7歳のときには,初対面の子供と遊ぶように指示された。11歳のときには,見知らぬ大人から日常生活についてあれこれ質問された。ケーガンらはこうした外部からの刺激に対して子供がどう反応するかを観察し,ボディランゲージを解読するとともに,自発的に笑ったり話したり笑みを浮かべたりする様子を記録した。さらに,両親と面接して彼らの普段の様子について尋ねた——少数の親しい友達とだけ遊ぶのが好きか,あるいは大勢で遊ぶのが好きか?知らない場所を訪ねるのが好きか?冒険派か,それとも慎重派か?自分のことを内気だと思っているか,それとお大胆だと思っているか?
子供たちの多くが,ケーガンが予測したとおりに成長した。モビールを見て盛大に手足を動かして騒いだ20%の「高反応」の赤ん坊の多くは,思慮深く慎重な性格に成長した。激しく反応しなかった「低反応」の赤ん坊は,大らかで自信家の性格に成長している例が多かった。言い換えれば,「高反応」は内向的な性格と,「低反応」は外向的な性格と一致する傾向が見られた。
スーザン・ケイン 古草秀子(訳) (2013). 内向型人間の時代:社会を変える静かな人の力 講談社 pp.128-129
(Cain, S. (2012). Quiet: The power of introversion in a world that can’t stop talking. Broadway Books: St. Portlamd, OR.)
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