だが,「生まれつきか育ちか」論争が相互作用論——両方の要素が作用して性格を形成し,しかも両者はたがいに作用し合っているとする考え方——に取って代わられたのと同じように,「人間——状況」論争はもっと微妙な見解にその座を奪われた。私たちが午後6時には社交的な気分でも午後10時には孤独であり,そうした変化は現実に存在し,状況に左右されると,性格心理学者は認めている。また,そうした変化にもかかわらず,固定した性格というものは存在するのだという前提を支持する証拠が数多く登場してきたことを,彼らは強調している。
最近では,ミッシェルまでもが性格特性の存在を認めているが,それらにはパターンが有ると彼は信じている。たとえば,対等者には攻撃的だが権威者には従属的で従順な人々がいる。その逆の人々もいる。「拒絶に敏感な」人々は,安心を感じているときには思いやり深く愛情に満ちているが,拒絶されたと感じると,とたんに敵対的で支配的になる。
スーザン・ケイン 古草秀子(訳) (2013). 内向型人間の時代:社会を変える静かな人の力 講談社 pp.260-261
(Cain, S. (2012). Quiet: The power of introversion in a world that can’t stop talking. Broadway Books: St. Portlamd, OR.)
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