高校入学者が100人いたとすれば,どこかの段階までの教育機関をきちんと卒業し,新卒就職をして,そして3年後も就業継続をしている者は,実は41人しかいない。このグループは,“まっすぐなキャリアを歩んでいる人”という意味で「ストレーター」と名づけたいと思うが,それは,実は半分以下でしかない。かつての日本社会においては,ストレーターこそが多数はであったし,それが社会的な「標準」でもあった。しかし,今では(大学院等に進学した6名を加えてもなお)半数以下なのである。
逆に言えば,同世代の半分強は,学校段階においてか就労においてか,どこかでつまづいたり,立ちすくんで滞留したり,やり直しを余儀なくされたりしている。これが,今どきの若者たちのキャリアである。彼らが生きていくのは,こんな状況の時代なのである。
まずは,このことをしっかりと頭に叩きこんでほしい。
児美川孝一郎 (2013). キャリア教育のウソ 筑摩書房 pp.26-27
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