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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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偶然を越える証拠はあるか

 バフェットは,1984年の講演で,アメリカの2億1500万人の人々がすべて1対1に分かれ,コイントスの結果に1ドルを賭けることを想像してみるよう,聴衆に求めた。外した人は失格で,当たった相手に1ドルを渡して終了となる。
 翌日,勝った人だけがまた2人1組に分かれ,同じゲームをするが,今度は賭け金を2ドルにする。負けたら失格で,その日の勝者は4ドルを手にすることになる。このゲームを毎日1回,賭け金を倍にして続ける。20回はじいた後では,200人ほどが勝ち残っていて,それぞれが100万ドル以上を手にしている。
 バフェットによれば,その中の誰かが,自分の取った方法について『毎朝30秒働くだけで,20日で100万ドル稼ぐ方法』という本を書くだろうという。「そんなことはできない」と言う象牙の塔の経済学者に,「できないのなら,どうしてこの200人がいるのか」としつこく問いつめる人もいるだろう。「するとビジネススクールの教授の中には無粋な人がいて,おそらくこんな事実を持ち出すだろう。2億1500万頭のオランウータンが同じことをしても,同じ結果になる----200頭ほどのがめついオランウータンが20連勝している」
 どんな証拠があれば,われわれは相場に勝つほどうまく株を選べる人がいることを納得するはずだと言えるのだろう。毎年,星いくつの評価が出て,相場や他の人々よりもずっと好成績を出した投資信託会社や人を特定している。そうした会社や人のうち,何年にもわたって上位にとどまる人はほんのわずかだけだ。そうした会社の広告を見れば,この赫々たる記録からすると,その予測力はさらに続くという印象をしっかりと残してくれる(細かい字で書かれていることは無視すれば)。しかし,バフェットの話からうかがえるように,長期的に立派な成績を挙げる非常に運のいい少数の会社やマネジャーの集団は,必ず出ることになっている。

ウィリアム・パウンドストーン 松浦俊輔(訳) (2006). 天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話 青土社 pp.236-237.
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