最近では,学校関係者の研修のためのマニュアル本でも,「自尊感情を高める」などという項目がよく出てきますし,特別支援教育でも,「自尊感情を保つ」ということはよく話題になります。学会などでは,もともと自尊感情というのは注目されていましたが,学校の先生の研修会などで目立つようになってきたのは最近のような気がします。
ですから,最近の学校の先生は,「自尊感情という概念は必要であるし,いまの子どもたちは自尊感情が低い」というようなイメージを少なからず持っている方は多いと思います。しかし,子どもたちの自尊感情の低さが,説得力のあるデータとして示されている,ということはなかなかありませんでした。調査者の独自のオリジナルなデータのようなものであったり,小規模な調査がほとんどだったということです。
古荘純一 (2009). 日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか:精神科医の現場報告 光文社 pp.33-34
PR