ある研究者の意見では,糖尿病や内分泌の病気をもつ子どもに,QOLに関する質問をした場合,学校で行うよりも病院で行った方が,よい答えを出す傾向にあるということです。慢性疾患を持つ子どもは,病院を,痛い処置があり怖いところというイメージばかりを持っているのではなく,学校よりも精神面の問題を相談しやすい場所だと思っているのかもしれません(小児医療にたずさわっている身としては嬉しい意見だと思います)。
慢性疾患のある子どもの親は,子どもをかわいそうに思っている傾向は確かにあります。このため,子どもに過保護になったり,過剰に干渉したりすると,かえって子どもにとっては自尊感情を傷つけられる可能性がある,ということも忘れてはなりません。むやみな同情は,サポートにつながらないことがあるのです。
古荘純一 (2009). 日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか:精神科医の現場報告 光文社 pp.154-155
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