個性や可能性を伸ばしていくためには,その子自身が,自分は算数が得意だ,スポーツが得意だ,絵を描くのが好きだ,など,何か自分の中で好きなこと,人よりも優れていると思えることを自覚し,それを軸に自分ならではの価値や役割を見出し,自信を積み重ねていくというプロセスがあります。この中で子どもは,自分の自我やアイデンティティを確立していきます。
子どもたちは,基本的に大人からの評価を得ようと努力しています。しかし,その子その子の出来具合もありますし,個性もあります。大人の尺度で批判したり,他の子どもと比較することは,子どもたちが自信をなくすことにつながります。
我々は子どもの運動会で,「がんばれ!がんばれ!」あるいは「走れ!走れ!」などと応援しがちですが,言われるまでもなく子どもたちはがんばっているし,一生懸命走っているのです。
古荘純一 (2009). 日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか:精神科医の現場報告 光文社 pp.227-228
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