男性が真剣であろうがなかろうが,女性にとってはお呼びでないものはお呼びでない。そんな簡単なことがなぜわからないのか,女性からすれば不思議です。でも考えてみれば,古今東西,どんな時代・社会でも,男性には「遊び」のための女,その場限りのセックスがありました。道徳的判断は別として,男性が望めば多少のカネで女性と手軽に「遊べる」というのは厳然たる事実。カネが直接からまないとしても,女性を遊ぶ相手と真面目な付き合いの相手とに分ける「娼婦」/「聖母」の二分法は過去の遺物ではありません。
だから男性は「俺は真剣なんだ」と,セックスだけが目当てなんじゃない,君を軽く扱っているんじゃないと自分の誠実さをアピールします。男性は,それで相手の女性は安心して自分との関係を受け入れると思っているのでしょうが,でも,男性の「真剣さ」を額面通り受け取るとしても(実際のところはマユツバですが),その男性との関係を望まない女性にとっては,嬉しくもなんともありません。当然ながら,女性にだって選ぶ権利があるのです。
牟田和恵 (2013). 部長,その恋愛はセクハラです! 集英社 pp.87
PR