この種の事件に共通して言えることは,男たちの「合意だ」という主張を裏付けるほど,はっきりとした意思表示は,女性の側からはなされていないことが多いということである。だから,その都度そんなことを加害者男性に聞き直してみるのだが,その際の答えは,せいぜい「拒否はしていなかった」という説明に留まることが多い。
彼らから,女性の側が「了解していた」「合意をしていた」ことについて納得できる説明を得ることは難しい。そして,そんな場合は決まって,彼女が「消極的な性格」のためとか,「女性だから,はっきりとした意思表示はしなかったがその態度でわかった」などという言い訳がされる。
実に多くの男たちが,「彼女が望んでいることは雰囲気でわかった」とか「仕種や態度から察することができた」などと言う。さらに「強い拒否がなかった」「本心からの抵抗だとは思えなかった」などと,追加的に説明される。
金子雅臣 (2006). 壊れる男たち 岩波書店 pp.169-170
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