硬直的に二項対立思考する人は,“味方”の陣営に属する各人に対して,つねに“正しい意見”に忠実であることを純粋主義的に要求します。
ちょっとでも“味方の統一見解”からずれたようなことを口にしたり,“敵”の言い分を部分的に肯定したりするようなことを言うと,「君は裏切ったのか!」と問い詰めます。「別に,いつも同じ意見である必要などないだろう」などと言おうものなら,その人が悪魔にでも取りつかれたかのように大騒ぎし,糾弾し始めます。
英雄として祭り上げられている人だって例外ではありません。むしろ英雄であればあるほど,純粋に“味方の理想”を守っていくことを期待されます。
英雄が信者の期待を大幅に裏切るようなことをすると,とんでもないことになります。悪魔そのもののような扱いをされるかもしれません。硬直した二項対立図式は,誰にとっても不自由です。
仲正昌樹 (2008). 知識だけあるバカになるな! 何も信じられない世界で生き抜く方法 大和書房 Pp.136-137
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