いまのところ,未来はまだ「検索」できない。われわれは未来の縁にぎりぎり片脚をかけながら,過去と未来の境界線のようなニュースをむさぼっている。次の大事件を待ちきれないでいるわれわれの貪欲さを考えれば,新聞の見出しを飾ったどんな出来事も,すぐに色あせてしまう運命にある。ある事件の続報が第一面に出続けることもあるかもしれないが,そこに新たな事件が出てくれば,前の事件はたちまちニュースバリューを失うのを避けられない。
もちろん,これには一般大衆とメディアの双方が一枚かんでいる。ひとひらの雪が温かい指に触れたとたんに溶けてしまうように,ニュースも最初にそれに触れたときにしか,ありがたみがない。「ニュース」は「新しいもの」でなくてはならず,つねに最新事情を押さえておくには定期的なチェックが欠かせない。したがって,昨日の新聞はあっというまに価値がなくなる。この章だって,早く読まないとすぐに時代遅れになるかも……。
アルバート=ラズロ・バラバシ 青木薫(監訳) 塩原通緒(訳) (2012). バースト!人間行動を支配するパターン NHK出版 pp.68
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