一方,時代も分野もまったく異なるところでは,チャールズ・ダーウィンが,新しい種の発生はいずれも漸進的なプロセスをたどるという仮説を出していた。要するに,現在の種から少しだけどこかが修正された子孫へとゆっくり変化していく過程を通じて,新しい種は生まれるというのである。そうした連続的な変化の証拠は,もちろん当時もなかったが,今日でもめったに得られない。ゆえにダーウィンも,それが「私の理論に対して出されるもっとも深刻な異論」と認めざるをえなかった。実際,何百万年という長きにわたって,化石記録に見られる種は進化的変化をほとんど示していないという時期がある。新しい種が現れるのは,たいてい数十万年のスパンであり,それは進化の全過程から見れば,ほんの一瞬の期間にすぎない。つまり進化はバーストを生じさせながら進んでおり,そのバーストが化石記録に保存されているということだ。
アルバート=ラズロ・バラバシ 青木薫(監訳) 塩原通緒(訳) (2012). バースト!人間行動を支配するパターン NHK出版 pp.350
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