以前,官官接待でこの食糧費が社会通念上,儀礼の範囲を逸脱して使われたとして問題になった。そのため,食糧費は特に厳しくなっているようなのだ。このため,見積り,納品書,請求書が必要となる。先ほども述べたが,何かが起こるとすぐに屋上屋を架すのが役人の発想である。1人の不心得者がしでかした悪事に対しても,全員が悪人であると考えて対応をとるよう制度の変更を行う。従って,ここには膨大なムダが発生する。人件費,コスト,時間が浪費されることになる。
何かが起きると,常に管理強化の方向に動く。原因を見つけ出し,それをどう予防するのかといった根本的な問題を考えて解決を図ろうとはしない。ただ人手をかけて人海戦術で何とかしようとする。システムをどう改善するのか,という議論にはならないのだ。従って,いくら屋上屋を架しても,介在する人が悪さをすれば防ぎようがない。そして,また問題が発生する。すると,さらに人を増やして,といったように意味もなく人だけが増えていく。ほとんど無意味と思えるような仕事に,本当に信じられないくらい大量の人が貼りつくことになっている。
菊地達昭 (2011). キャリア妨害:ある公立大学のキャリア支援室での経験 リフレ出版 pp.20-21
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