多くの大人たちは,子供たちに対して常に,「他人に迷惑をかけるな」と言いますね。しかしそれは,「権利というもの自体を,まだよく理解できていない」からでしょう。その背景には,2つの理由があると思われます。
第1は,日本という国が,「同質性が高い」ということです。
他の多くの国々と比べると,大陸から離れた島国である日本には,歴史的に見ても,比較的「同じような人々」が暮らしてきました。
また,2千年にわたって日本の産業・経済の中心だった「水田耕作」では,村の中で「和を保つ」ことが非常に重要です。
このため日本人は,「みんな同じ心を持っているはずだ」とか「他人に迷惑をかけることはすべて悪だ」と考えるような文化を持つようになりました。
第2は,日本では,「自由」とか「民主主義」とか「権利」といったものが,革命によって(下から)勝ち取られたものではなく,敗戦によって(上から)あたえられたものだった——ということです。
岡本 薫 (2011). 小中学生のための 初めて学ぶ著作権 朝日学生新聞社 pp.22-23
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