「料理を作った」という場合は,「こうすればこの料理ができる」という「アイデア」を利用しました。しかし,「本に書かれた文章としての表現」はコピーしていません。だから著作権侵害にはならないのです。
しかし,「本をコピーした」という場合は,「料理のアイデア」は使っていませんが,「文章としての表現」を,「コピーする」という形で利用しました。だから著作権侵害になるのです。
これが,「表現は保護される」が「アイデアは保護されない」ということです。実は,「アイデア」を保護するのが,「特許権」というものの役割です。別の例で考えてみましょう。
例えばここに,「新しい薬の製法」が書かれた「論文」があるとしましょう。その製法(発明としてのアイデア)には,特許権があたえられているとします。この場合,「論文」(文章としての表現)は著作権で保護されており,「製法」(アイデア)は特許権で保護されることになります。
ここで,ある人が,その論文を読んだとしましょう。読んだ後に,その人が無断で「論文をコピーした」のなら著作権侵害になり,無断で「その薬を作って売った」のなら特許権侵害になるのです。ちがいが分かりましたか?
岡本 薫 (2011). 小中学生のための 初めて学ぶ著作権 朝日学生新聞社 pp.58-59
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