このように,いろいろな権利が重なっていますので,「1つの行為」について,多数の権利者の権利がおよぶことがあります。もっとも複雑な場合を示しておきましょう。
◆Aさんが音楽を作詞・作曲しました(Aさんが「作った人の著作権」を持つ)。
◆その曲をBさんが(Aさんの了解を得て)ライブコンサートで歌いました(Bさんが「伝えた人の著作権」を持つ)。
◆そのコンサートをCレコード会社が(Aさん・Bさんの了解を得て)録音し,CDを発売しました(C社が「伝えた人の著作権」を持つ)。
◆そのCDを(Aさん・Bさん・C社の了解を得て)D放送局が放送しました(D局が「伝えた人の著作権」を持つ)。
この場合,もしだれかが,そのD放送局の「番組」を無断で録音し,多数のCDにコピーして販売したとすると,A・B・C・Dの4者から,同時に訴えられる可能性があるわけです。
岡本 薫 (2011). 小中学生のための 初めて学ぶ著作権 朝日学生新聞社 pp.126
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