著作権を保護すべきことは,「国際人権規約」という条約にも規定されていますので,著作権は人権の1つだとも言えます。人権なのになぜ例外があってよいのかというと,それは,「他人も別の人権を持っている」からです。
例えば,すべての人は憲法で保障された「言論の自由」という人権を持っています。ですから,本来は「何を言っても自由」であるはずですね。
しかし,人々は同時に,「名誉を傷つけられない」という人権も持っています。
ですから,だれかが「言論の自由」という人権を使って,「何かを言う」(例えば悪口を言う)ことによって,他人が持っている「名誉を傷つけられない」という別の人権を,侵害してしまう場合があるわけです。
このように,「人権と人権がぶつかり合う」ような場合には,「どちらを優先するのか?」ということを,「法律ルールで決めておく」という必要があるわけです。
日本では,「言論の自由」と「名誉を傷つけられない権利」がぶつかり合う場合には,「名誉を傷つけられない権利」の方を優先する——という法律ルールになっています。
このため,「言論の自由」という人権があっても,「他人の名誉を傷つけるようなこと」は,言ってはいけないのです。
岡本 薫 (2011). 小中学生のための 初めて学ぶ著作権 朝日学生新聞社 pp.155-156
PR