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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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うつ病の海馬減少説

 うつ病の海馬細胞減小説はなかなか興味深く,調べてみる価値があるが,デュマンらがあっさりと認めているように,この仮説が適用できるのはうつ病患者の比較的少数に限られる。というのは,うつ病患者の大半で海馬の細胞の減少が見られるという証拠もないし,うつ病になる前に必ず大きなストレスがあるというわけではないからである。実際,最初のうつ病の発作が,何もかもうまくいっている時期に起こることも珍しくない。ところが海馬仮説で一つ大事なのは,この仮説によってうつ病の原因を探す範囲が広がったことである。この仮説では,神経伝達物質の異常の証拠のみに着眼するのではなく,別の生物学的な要因に目を向け,その要因が個人の生活の中の諸事情によっていかに影響を受けるかにも注意を向ける。

エリオット・S・ヴァレンスタイン 功刀 浩(監訳)・中塚公子(訳) (2008). 精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の科学と虚構 みすず書房 pp.145
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