著作権について「契約」が必要になるケースの典型は,Aさん(権利者)が作ったコンテンツについて,Bさん(利用者)が「使わせてくれ」と言ってくる場合です。
この場合Bさんは,単に「使わせてもらう」という契約をするよりも,「そのコンテンツの『財布を守る権利』を丸ごと買い取ってしまう」という契約の方が有利です。そうすれば,自分が著作権者になるわけですから,後々も自由に使えます。
Bさんがそのような契約条件を提示した(希望を言った)とき,Aさんは,気に入らないなら,単に断ればいいのです。
しかし,日本でよくあるのは,Aさんが「人権の一種である著作権をゆずれとはケシカラン」と怒ってしまうというケースです。自分の価値観やモラル感覚を「他人も共有していて当然」と思っているのですね。これでは冷静な話し合いはできません。
また,こうした場合によくあるのは,Aさんが政府の官僚のところに行って「Bはケシカランので,政府から指導してくれ」などと言うことです。
こうした「なんでも官僚に頼る態度」が,日本の官僚主導を生んだのです。
岡本 薫 (2011). 小中学生のための 初めて学ぶ著作権 朝日学生新聞社 pp.205
PR