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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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催眠と疑いのなさ

ある男性はドイツに生まれ,8歳の頃,一家で英語圏の国に移住した。それから英語を覚えて,ドイツ語はほとんど忘れてしまった。施術者が男性を「深い」催眠に導き,あなたは今たったの6歳です,と告げると,男性は子どもを思わせるような,ありとあらゆる振る舞いをして,黒板に子どもじみた字を書いたりもした。だが,英語が分かるかと英語で尋ねられると,男性は,英語は分からないし話せない,分かるのはドイツ語だけなの,と子どものような「英語で」答えたのだ。さらには,英語は一言もわからないという文章を,わざわざ黒板に英語で書いてみせた。したがって,本当に退行しているのではなく,役を演じているのに近いと言えるだろう。被験者は,施術者の言葉と期待に何の疑いもなくやみくもに従っている。

ジュリアン・ジェインズ 柴田裕之(訳) (2005). 神々の沈黙:意識の誕生と文明の興亡 紀伊国屋書店 p.471-472
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