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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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家庭環境

第2原則(共有環境の希少性)と第3原則(非共有環境の優位性)が示唆するのは,1つの家庭が行動の一般的特性の学習の場として均質でもなければ,家庭以外の状況と比べて優位でもないことである。パーソナリティの形成に関して,たとえば外向的あるいは神経質な行動傾向を,家族成員が等しく学習できる機会が家庭内で与えられているわけではない。それは「外向的あるいは神経質な行動」というものが手続き的な知識や技能として,一般的なかたちで学習されるようなシステマティックな環境がないことを意味する。仮に学習され得る手続き的知識や技能として「外向的行動」が表れるとすれば,それはかなり特殊状況(特定の対人関係や問題解決の場面)であり,また個人に特殊(たまたま問題に直面した子どもに対して)なかたちで与えられ,同居する親やきょうだいの行動を見て学ぶというような観察学習に依存するのではないかと考えられる(Jang, 2005)。しかし認知能力に関してはそうではなく,それが一般的な手続き的知識やスキルとして,家族に明示的に,あるいは観察学習を通じて家庭のなかで伝達されている。それはすでに認知心理学や学習心理学で示されてきた効率的な問題解決や知識獲得をうながすメタ認知スキルの具体的教示や,間接的にそれを支える文化的環境(知的なメディアや会話の質や量など),あるいは親自身の知的態度などを通じて学習され得る領域と思われる。

安藤寿康 (2011). 認知の個人差と遺伝 日本認知心理学会(監修) 箱田裕司(編) 現代の認知心理学7 認知の個人差 北大路書房 pp.103-129
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