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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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人命軽視

そして,なにより室町人は現代人には考えられないほど個人の生命を軽視しており,遺恨の表明や特定の訴願のまえには,自身の生命を捨てることも厭わなかった。彼らが自害を選択する背景として最も重要な要素は,その独特の生命観にあったといえるだろう。この時代は戦乱や病気,飢饉などにより,現代社会よりもずっと「生」と「死」の間の垣根は低く,人々に「死」は身近な存在だった。ある者は死んで,ある者は生き残る——それを分けるのは,ただ当人たちの運の良し悪しだけだった。そんな社会に生きる彼らが永続すべき「家」や「所領」や「誇り」のために一命を捨てることは,私たちが考えるほど大胆な決断ではなかったのかもしれない。そして,そうした人々の生命観は,また当時の紛争を激化させた重要な要因ともなっていたのである。

清水克行 (2006). 喧嘩両成敗の誕生 講談社 pp.48
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